薬剤師の動揺

悲しみの底の続きとなります。

しかし、退院の前日になり、事件は起きたのです。

いつもの様に、例の薬剤師が私の元に訪れ、他愛もない事を話していたのですが、薬剤師がふと、「でも、死んだのが犬だけで良かったのね」と私にいったのです。

私は、数秒間固まっていたのでしょうが、私の頭の中では、数十年分の情報が飛び交ったのではないかというほどに、様々な事が浮かびました。

そして、自分でも驚いた事に、嗚咽を漏らし始め、40近くにもなって声を出して泣き崩れてしまったのです。

その時の薬剤師の顔を覚えていませんが、多分、やってしまったという顔をしていたのではないでしょうか。

すると、どこで嗅ぎつけたのか看護師が飛んできて、薬剤師に「今度は何をしたんですか」と問い詰めていました。

その後の事はあまり思い出したくないのですが、良い年をしたおっさんが、一回りも下であろう看護師に慰められて、薬剤師は、他の看護師に引っ張っていかれました。

その後落ち着いた私は、看護師に謝罪したところ、逆に薬剤師の事で謝られたのですが、泣き過ぎて神経が麻痺してしまっているのか、不思議と怒りはなかったのです。

そして、その日の午後、医師と看護師に連れられ、私の元に薬剤師がやってきたのです。

薬剤師の懺悔に続きます。

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